鼻づまり
鼻水が止まらない。鼻がつまって眠れない。口で呼吸してしまう。鼻の症状は命に関わることこそ少ないものの、睡眠や食事、仕事や勉強の集中力まで、生活の質を大きく下げます。
「鼻くらいで受診するのは大げさ」と思われがちですが、鼻水・鼻づまりは耳鼻咽喉科がもっとも力になれる症状のひとつです。このページでは、原因となる病気と当院での診療についてご説明します。
推奨 1200×675px
鼻水・鼻づまりが起こる仕組み
鼻水も鼻づまりも、もとをたどれば鼻の粘膜の「防御反応」です。ウイルスや花粉などの異物が入ってくると、粘膜は鼻水を増やして洗い流そうとし、血管を広げて腫れることで異物の侵入を防ごうとします。この腫れが、鼻づまりの正体です。
つまり鼻づまりは「鼻水が詰まっている」のではなく、多くの場合「粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなっている」状態です。鼻をかんでも通らないのはこのためで、腫れの原因に応じた治療が必要になります。
また、鼻水の性状は原因のヒントになります。透明でさらさらした鼻水はアレルギーやウイルス感染の初期に、黄色や緑がかった粘り気のある鼻水は細菌感染や副鼻腔炎で多くみられます。
考えられる主な病気
急性鼻炎(鼻かぜ)
もっとも身近な原因です
ウイルス感染による鼻の炎症で、いわゆる「鼻かぜ」です。透明な鼻水から始まり、数日で粘り気を帯び、1〜2週間で自然に軽快します。つらい時期の症状をやわらげながら、副鼻腔炎や中耳炎への進行がないかを見ていきます。
副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻かぜが長引いたときに疑います
鼻の周りの空洞(副鼻腔)に炎症が起こり、膿がたまる病気です。粘り気のある色つきの鼻水、頬や目の奥の重い痛み、鼻水がのどに落ちる感じ(後鼻漏)が特徴です。風邪のあとに症状がいったん良くなってから再び悪化した場合や、10日以上続く場合に疑います。
3か月以上続くものは慢性副鼻腔炎と呼ばれ、治療の進め方が変わります。長引く鼻の症状は、一度ご相談ください。
アレルギー性鼻炎
くしゃみ・透明な鼻水・鼻づまりの3点セット
ダニやハウスダストなどが原因の通年性と、花粉が原因の季節性(花粉症)があります。透明でさらさらした鼻水、連続するくしゃみ、目のかゆみを伴うのが特徴です。検査でアレルギーの原因を特定でき、原因に応じて内服薬・点鼻薬・舌下免疫療法などの選択肢があります。
花粉症については、花粉症のページで詳しくご説明しています。
鼻中隔弯曲症
いつも同じ側がつまる方に
鼻の左右を仕切る壁(鼻中隔)が曲がっていることで、片側の通りが悪くなる状態です。成長の過程で多くの方に多少の曲がりはありますが、鼻づまりがつらい場合や、いびき・口呼吸の原因になっている場合は治療の対象になります。手術が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介します。
薬剤性鼻炎
市販の点鼻薬の使いすぎで起こります
市販の血管収縮薬入り点鼻薬は、使った直後はよく効きますが、長期間使い続けると、かえって粘膜が腫れやすくなり、点鼻薬なしではいられなくなることがあります。「点鼻薬が手放せない」という方は、そのこと自体が治療の対象です。責めるようなことは決してありませんので、使用状況を正直にお聞かせください。
放っておくと、どうなるか
鼻水・鼻づまりは「そのうち治る」ことも多い症状ですが、続いている間、体には見えない負担がかかっています。
- 睡眠の質が下がる:鼻づまりによる口呼吸は眠りを浅くし、いびきの原因にもなります
- 集中力が落ちる:日中の眠気やぼんやり感につながり、仕事や勉強の効率を下げます
- 中耳炎につながる:鼻と耳は耳管でつながっており、特にお子さまでは鼻水をきっかけに中耳炎を起こしやすくなります
- においや味がわかりにくくなる:鼻づまりや副鼻腔炎が長引くと、嗅覚の低下につながることがあります
症状そのものに加えて、こうした二次的な影響を断ち切ることが、鼻の治療の目的です。
早めに受診してほしい症状
鼻の症状の多くは心配のないものですが、次のような場合は早めの受診をお願いします。
こんなときは、早めにご相談ください
- いつも片側だけ、鼻水・鼻づまり・鼻血が続く
- 鼻水に血が混じる状態が続く
- 悪臭を伴う鼻水が続く
- 頬や目の奥の痛み、顔の腫れを伴う
- 10日以上たっても改善しない、いったん良くなってから悪化した
- においがほとんどわからない状態が続いている
特に、片側だけに続く症状は、ポリープや腫瘍など別の病気が隠れていることがあります。頻度は高くありませんが、確認しておく価値のあるサインです。
当院の診療について
鼻の診療では、鼻の中を直接観察し、必要に応じて内視鏡で奥まで確認します。粘膜の腫れ方や鼻水の性状、ポリープの有無を実際に見ることで、原因を絞り込めます。
片側だけの症状など気になる所見があった場合には、大学病院で頭頸部の腫瘍診療に携わってきた経験も踏まえて確認し、より詳しい検査が必要と判断した場合は適切な医療機関へご紹介します。
鼻水の吸引処置
推奨 1200×675px
たまった鼻水を、専用の器具で奥までていねいに吸引します。ご自宅の鼻吸い器では届かない粘り気のある鼻水も取り除けるのが、耳鼻科で処置を受ける利点です。鼻の通り道が開くと、お薬も届きやすくなります。
お薬についての考え方
鼻水を抑える抗ヒスタミン薬は、種類によって眠気の出やすさが大きく異なります。車を運転される方、大事な会議や試験を控えている方、勉強中のお子さま。生活への影響まで含めて、一緒にお薬を選びます。
また、色のついた鼻水イコール抗菌薬(抗生物質)、ではありません。抗菌薬が必要かどうかは、症状の経過と診察の所見から見きわめ、必要と判断した場合は理由をご説明したうえで処方します。
お子さまの鼻水・鼻づまり
推奨 1200×675px
お子さまは鼻の構造が小さく、大人よりも鼻がつまりやすくできています。そして、自分で上手に鼻をかめるようになるまでは、鼻水がたまりやすい状態が続きます。
たまった鼻水は、中耳炎の引き金になります。また、鼻づまりによる口呼吸や眠りの浅さは、日中の機嫌や集中力にも影響します。「鼻水だけだから」と様子を見続けるより、吸引してあげるだけでも、お子さまはずいぶん楽になります。
ご自宅での鼻吸い器の使用も有効です。うまく吸えない、嫌がって難しいという場合は、当院で吸引しますので、鼻水が続くときは気軽にお立ち寄りください。診察の際は、これから何をするのかをお子さま本人に伝え、「耳鼻科はこわい場所」という記憶を残さないことを大切にしています。
診察の流れ
- 問診いつから、どちら側か、鼻水の色や性状、くしゃみや目のかゆみの有無などを伺います。
- 診察鼻の中を観察します。必要に応じて内視鏡で奥まで確認します。
- 検査アレルギーが疑われる場合は、原因を調べる検査をご提案します。
- 処置鼻水の吸引など、必要な処置を行います。
- 説明とお薬原因と見通し、お薬の必要性をご説明し、一緒に治療方針を決めます。
わからないことは、何度でも聞き返してください。一度で理解できないのは当たり前のことで、それは説明する側の課題だと考えています。
よくあるご質問
鼻水だけで受診してもいいですか
はい。鼻水・鼻づまりは耳鼻咽喉科の中心的な診療内容です。症状が軽いうちの受診は、こじらせる前の対処につながります。お子さまの鼻水吸引だけのご来院も歓迎です。
黄色い鼻水が出ています。抗生物質が必要ですか
色のついた鼻水だけでは、抗菌薬が必要とは限りません。ウイルス性の鼻かぜでも経過の途中で鼻水に色がつくことはよくあります。症状の経過と診察の所見から必要性を見きわめ、必要な場合は理由をご説明したうえで処方します。
市販の点鼻薬を毎日使っています。問題ありますか
血管収縮薬入りの点鼻薬を長期間使い続けると、かえって鼻づまりが悪化する「薬剤性鼻炎」になることがあります。手放せなくなっている場合は、そのこと自体が治療の対象ですので、使用期間とあわせてご相談ください。
いつも同じ側だけ鼻がつまります
鼻中隔の曲がりによることが多いのですが、片側だけに続く症状はポリープなど別の原因が隠れていることもあります。一度、鼻の中を確認させてください。
アレルギーの検査はできますか
はい。血液検査などで、ダニ・ハウスダスト・花粉といった原因を調べられます。原因がわかると、対策と治療の選択肢が具体的になります。検査の詳細は診察時にご説明します。
