松戸駅徒歩2分 | 耳鼻咽喉科専門医 在籍施設 | 耳鼻咽喉科 | 小児耳鼻咽喉科 | アレルギー科

においはわからない

コーヒーの香りがしない。料理の味が薄く感じる。ガス漏れや食べ物の傷みに気づけるか不安。においの異常は、思っている以上に生活の安全と楽しみに関わる症状です。

嗅覚の低下は「鼻づまりのせいだろう」と放置されやすいのですが、原因によっては治療の開始が遅れるほど戻りにくくなるものがあります。このページでは、においがわからなくなる原因と、当院での診療についてご説明します。

嗅覚障害の診察の様子
画像 [1] 診察・内視鏡検査の写真
推奨 1200×675px

においを感じる仕組み

においの分子は、鼻の奥の天井部分にある「嗅粘膜」に届き、そこにある嗅細胞がキャッチして、信号として脳に伝わります。つまり、においを感じるには「①においの通り道が開いていること」「②嗅細胞が働いていること」「③脳まで信号が届くこと」の3つがそろっている必要があります。

このどこでつまずいているかによって、原因も治療法も変わります。だからこそ、まず「どこの問題か」を見きわめることが診療の出発点になります。

また、私たちが「味」と感じているものの多くは、実はにおいの働きです。嗅覚が落ちると「味がしない」と感じることが多く、味覚の異常として受診された方の原因が嗅覚だった、ということも少なくありません。

嗅覚障害の3つのタイプ

嗅覚障害は、仕組みのどこに問題があるかで大きく3つに分けられます。

気導性

においの通り道がふさがっているタイプ。鼻づまりや副鼻腔炎、ポリープが原因で、においの分子が嗅粘膜まで届いていない状態です。原因の治療で改善が期待しやすいタイプです。

嗅神経性

においを感じる嗅細胞や神経が傷ついているタイプ。ウイルス感染のあとに起こるものが代表的です。回復に時間がかかることがあり、早めに治療を始めることが大切です。

中枢性

脳での処理に問題があるタイプ。頭のけがや脳の病気などが関わります。頻度は高くありませんが、他の症状とあわせて確認が必要です。

考えられる主な原因

慢性副鼻腔炎・鼻茸(ポリープ)

嗅覚障害の原因として、もっとも多いもののひとつ

副鼻腔の炎症が続くと、粘膜の腫れやポリープがにおいの通り道をふさぎます。「だんだんにおいがしなくなってきた」「鼻づまりや粘り気のある鼻水も続いている」という場合に疑います。原因の治療によって、嗅覚の回復が期待できるタイプです。

感冒後嗅覚障害

風邪のあと、においだけ戻らない

風邪の症状が治ったのに、においだけが戻らない状態です。ウイルスによって嗅細胞や神経が傷つくことで起こり、新型コロナウイルス感染症のあとの嗅覚障害もこの仲間です。回復には数か月単位の時間がかかることがありますが、時間がたちすぎると戻りにくくなるため、気づいた時点でのご相談をおすすめします。

アレルギー性鼻炎

鼻づまりの時期だけ、においが鈍くなる

粘膜の腫れで通り道が狭くなり、症状の強い時期ににおいが落ちます。鼻炎の治療とあわせて改善が期待できます。鼻の症状については鼻水・鼻づまりのページもご覧ください。

加齢による嗅覚の低下

ゆっくり進むため、気づきにくい

嗅細胞は年齢とともに少しずつ減っていきます。ゆるやかに進むため自覚しにくく、ご家族から「ガスのにおいに気づかなかった」と指摘されて受診に至る方もいらっしゃいます。すべてが治療の対象になるわけではありませんが、治療できる原因が隠れていないかを確認する価値はあります。

頭部のけが・その他の原因

頻度は高くありませんが、確認が必要です

頭を打ったあとの嗅覚障害、お薬の影響、まれに脳や神経の病気が関わることがあります。嗅覚の低下は、パーキンソン病などの神経の病気の初期に現れることが知られており、経過や他の症状とあわせて確認します。

受診を急いでほしいケース

嗅覚障害は痛みがないぶん、受診が後回しになりがちです。ただ、次のような場合は早めにご相談ください。

こんなときは、早めにご相談ください

  • 風邪のあと、においだけが2週間以上戻らない
  • ある日突然、においがしなくなった
  • 片側だけの鼻づまり・鼻血・悪臭を伴う
  • 頭を打ったあとから、においがわからない
  • 実際にはないはずのにおい(焦げくさい等)を感じる

嗅神経のダメージによる嗅覚障害は、時間の経過とともに治療の効果が出にくくなっていきます。「そのうち戻るだろう」と数か月待つことが、いちばんもったいない選択です。

当院の診療について

まず、「どこの問題か」を確かめるところから。

嗅覚障害の治療は、原因のタイプによってまったく変わります。通り道の問題なら鼻の治療を、神経の問題なら神経の回復を助ける治療を。見た目の症状が同じでも、中身は別の病気です。

当院では、鼻の中を内視鏡で観察し、通り道をふさぐ原因がないかを確認するところから始めます。より詳しい嗅覚の検査や画像検査が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介します。

鼻の内視鏡検査

鼻の内視鏡検査の様子
画像 [2] 鼻の内視鏡検査の風景
推奨 1200×675px

細い内視鏡で、嗅粘膜のあるあたりまでのにおいの通り道を観察します。ポリープや粘膜の腫れ、鼻水の状態を直接確認できるため、気導性の原因はここでかなり絞り込めます。

治療について

原因に応じて、点鼻薬や内服薬による治療、副鼻腔炎の治療などを行います。感冒後の嗅覚障害では、においを繰り返し嗅ぐことで神経の回復を促す「嗅覚刺激療法」という取り組み方もあり、ご自宅でできる方法を診察時にご案内します。

お薬をお出しする場合は、なぜそのお薬が必要なのか、いつまで続けて、どの時点で効果を判定するのかをあわせてご説明します。嗅覚の治療は時間がかかることも多いため、見通しを共有しながら進めることを大切にしています。

診察の流れ

  1. 問診いつから、どんなきっかけで(風邪のあと、けがのあと等)、完全にわからないのか鈍いのか、味の感じ方の変化もあわせて伺います。
  2. 診察鼻の中を観察し、内視鏡でにおいの通り道を確認します。
  3. 検査必要に応じて、アレルギー検査などを行います。
  4. 説明考えられる原因のタイプと、回復の見通しをご説明します。
  5. 治療原因に応じた治療を始めます。詳しい嗅覚検査が必要な場合は、対応可能な医療機関へご紹介します。

「いつからか、はっきり思い出せない」という方も多い症状です。思い出せる範囲でかまいませんので、急がずにお話しください。

生活の中で気をつけること

嗅覚が落ちている間は、においが担っていた「危険を知らせる役割」を、別の方法で補う必要があります。

  • ガス警報器・火災報知器を確認する:ガス漏れや焦げつきに、においで気づけない前提で備えます
  • 食品は表示と見た目で判断する:消費期限を確認し、少しでも疑わしいものは口にしない習慣を
  • ご家族に伝えておく:においに気づきにくい状態であることを、周囲と共有しておくと安心です

嗅覚の変化は、ご本人が思う以上に食事の楽しみや気分に影響します。「気にしすぎ」と思わず、困っていることをそのまま診察でお聞かせください。

よくあるご質問

においがわからなくなってから時間がたっています。もう治りませんか

原因によります。通り道がふさがっているタイプなら、時間がたっていても原因の治療で改善が期待できます。神経のタイプは早いほうが有利ですが、時間がたっていても回復の余地がないとは限りません。あきらめる前に、一度原因を確かめてみてください。

味もわからないのですが、味覚の病気でしょうか

「味がしない」という症状の背景に、嗅覚の低下が隠れていることはよくあります。風味の多くはにおいが担っているためです。診察では嗅覚と味覚の両面から確認します。

新型コロナのあとから、においが戻りません

感染後の嗅覚障害は多く報告されており、回復に数か月かかる場合があります。回復を待つだけでなく、嗅覚刺激療法など取り組める方法がありますので、続いている場合はご相談ください。

実際にはないにおい(焦げたようなにおい)がします

嗅覚の回復の過程で、本来と違うにおいを感じたり、ないはずのにおいを感じたりすることがあります。経過の一部であることも多いのですが、他の原因の確認も必要ですので、診察時に詳しくお聞かせください。

嗅覚の検査は当院でできますか

鼻の中の観察と原因の絞り込みは当院で行います。基準嗅力検査などの専門的な嗅覚検査が必要と判断した場合は、検査が可能な医療機関へご紹介し、結果を踏まえた治療を当院で続ける形もとれます。