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風邪症状の方

のどが痛い、鼻水が止まらない、咳が出る、なんとなく熱っぽい。いわゆる「風邪」は、誰もが一年に何度か経験するありふれた症状です。

ただ、ありふれているからこそ、判断に迷う場面も多いのではないでしょうか。市販薬で様子を見るべきか、受診したほうがいいのか。抗生物質はもらったほうがいいのか。このページでは、風邪の症状について、耳鼻咽喉科の立場からご説明します。

風邪をひいてる男女の画像
画像 [1] 院内または受付の写真
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風邪とは、どんな病気か

風邪(かぜ症候群、急性上気道炎)は、鼻からのどにかけての「上気道」にウイルスが感染して起こる病気です。原因となるウイルスは200種類以上あるといわれ、季節や年齢によって流行するものが変わります。

つまり「風邪」とは、ひとつの病気の名前ではなく、複数のウイルスによって起こる似た症状のまとまりを指す言葉です。何度でもかかるのは、原因となるウイルスが毎回違うからです。

症状は、耳・鼻・のどに出ます

  • 鼻の症状鼻水、鼻づまり、くしゃみ、においがわかりにくい
  • のどの症状のどの痛み、いがいが感、声のかすれ、咳、痰
  • 耳の症状耳が詰まった感じ、聞こえにくさ、耳の痛み
  • 全身の症状発熱、頭痛、だるさ、関節の痛み

鼻とのどはつながっており、さらに耳とも「耳管」という細い管でつながっています。そのため、鼻から始まった炎症がのどへ、のどから耳へと広がっていくことがあります。「風邪のあとに耳が詰まった感じがする」のは、この構造によるものです。

風邪のとき、耳鼻科でできること

内科でも風邪の診療は受けられますが、耳鼻咽喉科には次のような特徴があります。

発熱外来専用待合の写真
画像 [2] 外来の写真
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鼻とのどを、直接見て確認できます

鼻の中やのどの奥を専用の器具や内視鏡で観察します。実際に見ることで、単なる風邪なのか、副鼻腔炎や扁桃炎に進んでいるのかを判断しやすくなります。

その場で処置ができます

たまった鼻水をその場で吸引できます。鼻を自分でかめないお子さまにとっては、鼻水を取ることそのものが治療になります。鼻の通りがよくなるだけで、呼吸も睡眠も楽になります。

耳の合併症を早く見つけられます

風邪をきっかけに中耳炎を起こすことは、特にお子さまでは珍しくありません。耳鼻科では鼓膜の状態も同時に確認できるため、耳の症状が出る前の段階で気づけることがあります。

風邪の経過の目安

  • 1〜2日目:のどの違和感やイガイガから始まることが多い
  • 3〜4日目:鼻水、鼻づまり、くしゃみが強くなる。発熱を伴うこともある
  • 5〜7日目:鼻水が粘り気を帯び、咳が中心になってくる
  • 1〜2週間:徐々に軽快する

咳だけは長引くことがあり、感染そのものが治まったあとも3週間ほど続く場合があります。これは気道の粘膜が敏感になっているためで、必ずしも治っていないという意味ではありません。

一方で、一度よくなりかけてから再び悪化する10日以上たっても鼻や顔の症状が改善しないといった経過は、細菌感染の合併を疑うサインです。この場合は自然によくなるのを待つより、受診をおすすめします。

当院の考え方|抗生物質について

風邪で受診されたとき、「抗生物質は出ないのですか」と聞かれることがあります。ここは当院がとくに丁寧にご説明したい部分です。

抗生物質は、ウイルスには効きません。

抗菌薬(抗生物質)は細菌を退治する薬であり、風邪の原因の大半を占めるウイルスには作用しません。効かない薬を飲んでも、治りが早くなることはありません。それだけでなく、下痢や発疹などの副作用が起こることがあり、必要のない場面で使い続けると、細菌が薬に慣れて本当に必要なときに効かなくなっていきます

これはいま治療を受けているご本人だけでなく、これから大人になっていくお子さまたちの将来に関わる問題です。厚生労働省も、通常の感冒に対して抗菌薬を使わないことを推奨しています。

もちろん、必要な場面ではきちんとお出しします

溶連菌によるのどの炎症、細菌性の副鼻腔炎、中耳炎の一部など、抗菌薬が明らかに有効な病気はあります。当院では症状の経過と診察の所見から適応を判断し、必要と考えた場合は理由をご説明したうえで処方します。「出さない」ことが目的ではなく、「必要かどうかを見きわめる」ことが目的です。

お薬の眠気について

鼻水を抑える抗ヒスタミン薬は、種類によって眠気や集中力の低下の程度が大きく異なります。車を運転される方、これから試験や大事な会議がある方、勉強中のお子さま。そうした事情がある場合は、遠慮なくお伝えください。眠くなりにくい薬に変える、飲むタイミングを調整するなど、選択肢があります。

受診の目安と、救急のサイン

風邪の多くは自然によくなりますが、なかには別の病気が隠れていることがあります。緊急度によって、とるべき行動が変わります。

すぐに救急外来へ/ためらわず救急車を

  • 息が苦しい、呼吸のときにゼーゼー・ヒューヒューと音がする
  • 声がこもる、いつもと違うくぐもった声になる
  • 唾も飲み込めない、よだれが垂れる
  • 横になると苦しく、前かがみでないと呼吸できない
  • 唇や顔色が青白い、意識がもうろうとしている

診療時間内であっても、これらの症状がある場合は当院ではなく救急外来を受診してください。

判断に迷うときは救急安心センター#7119、お子さまの場合は小児救急電話相談#8000へ。呼吸が苦しそうな場合は、迷わず119番へご連絡ください。

これらの症状は、のどの奥(喉頭蓋など)が腫れて空気の通り道がふさがりかけている可能性があります。数時間のうちに急速に悪化することがあり、外来の順番を待つ時間が命に関わります。まれな病気ですが、迷ったときは「大げさかもしれない」と考えず、救急を選んでください。

早めに当院へご相談ください

  • のどの痛みが強く、食事がとりづらい
  • のどの痛みが片側だけ強い
  • 高い熱が3日以上続く、いったん下がってまた上がる
  • 顔の痛みや頬の重さ、10日以上続く黄色い鼻水
  • 耳の痛み、耳だれ
  • 首が腫れている、口が開けにくい
  • 水分が摂れない、尿が少ない

これらは扁桃炎、副鼻腔炎、中耳炎などに進んでいる可能性がある症状です。診療時間内にご相談ください。ただし、経過の途中で上の「救急外来へ」の症状が出た場合は、そちらを優先してください。

お子さま・ご高齢の方の風邪

お子さまの場合

お子さまの診察の様子
画像 [3] 小児診察の写真
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お子さまは大人より風邪をひく回数が多く、集団生活が始まると年に何度もかかるのは自然なことです。ただし、鼻をかめないうちは鼻水がたまりやすく、耳管を通じて中耳炎につながることがあります。ご自宅での鼻吸引に加え、耳鼻科での吸引処置も治療の一部です。

また、小さなお子さまは「耳が痛い」と言葉にできず、機嫌が悪い、夜泣きが増える、耳をよく触るといった形で現れることがあります。風邪のあとにこうした様子が見られたら、一度耳の中を確認させてください。

なお、よだれが垂れる、声がこもる、呼吸のときに音がするといった様子が見られた場合は、風邪とは別の病気の可能性があります。お子さまは大人より気道が細く、短時間で悪化しやすいため、この場合は当院の診療時間を待たず、救急外来を受診してください。

診察の際は、これから何をするのかをお子さま本人に伝えるようにしています。「耳鼻科はこわい場所」という記憶を残さないことも、次に困ったときにきちんと受診できるかどうかにつながると考えているからです。

ご高齢の方の場合

年齢を重ねると、熱が出にくく症状が軽く見えることがあります。食欲の低下から脱水につながりやすく、飲み込む力が落ちていると肺炎のリスクも高まります。「たいしたことはない」と感じても、食事や水分が普段どおり摂れていない場合は早めにご相談ください。持病のお薬との飲み合わせもありますので、お薬手帳をお持ちいただけると助かります。

当院での診察の流れ

  1. 問診いつから、どの症状が、どんな順番で出ているかを伺います。
  2. 診察鼻の中、のど、必要に応じて鼓膜を確認します。内視鏡を使うこともあります。
  3. 検査必要と判断した場合のみ、インフルエンザや溶連菌などの検査を行います。
  4. 処置鼻水の吸引など、必要な処置を行います。
  5. 説明とお薬現在の状態、これからの見通し、お薬の必要性をご説明します。
診察室で説明する院長
画像 [4] 診察室での説明風景
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説明が少し長いと感じられるかもしれません。それでも、納得したうえでお薬を使っていただくことは省略したくない時間だと考えています。わからないことは、何度でも聞き返してください。

よくあるご質問

熱がなくても受診していいですか

はい。鼻づまりで眠れない、のどの痛みで食事がとれないといった症状は、熱の有無にかかわらず治療の対象になります。

どのくらい様子を見てから受診すればいいですか

決まった日数はありません。症状がつらい、日常生活に支障が出ているという時点で受診の理由になります。逆に、症状が軽くても10日以上続いている場合はご相談ください。

夜間や休診日に、のどの痛みがひどくなったらどうすればいいですか

息苦しさ、声のこもり、唾も飲み込めないといった症状を伴う場合は、朝を待たずに救急外来を受診してください。これらは空気の通り道が狭くなっているサインで、短時間で進行することがあります。それ以外の痛みで判断に迷うときは、救急安心センター(#7119)、お子さまの場合は小児救急電話相談(#8000)にご相談いただくと、受診の要否を案内してもらえます。

内科と耳鼻科、どちらにかかればいいですか

鼻とのどの症状が中心であれば耳鼻科が適しています。強い咳や息苦しさ、胸の症状が中心の場合は内科をおすすめします。迷われた場合は、まずお越しいただければ、必要に応じて適切な医療機関をご案内します。

抗生物質を飲みきらずに残しても大丈夫ですか

処方された抗菌薬は、指示された期間を飲みきってください。途中でやめると、生き残った細菌が薬に慣れる原因になります。残しておいて別の機会に使うことは避けてください。