いびき
家族にいびきを指摘された。気づくと口で呼吸している。朝起きても疲れが取れない。子どもが大きないびきをかいている。
いびきは「よく眠れている証拠」と思われがちですが、実際は逆です。いびきは、眠っている間の空気の通り道が狭くなっているサインであり、口呼吸はその狭さを補おうとする代償でもあります。このページでは、いびきと口呼吸の原因、放置したときの影響、当院での診療についてご説明します。
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いびきが起こる仕組み
いびきは、眠っている間に狭くなった空気の通り道を、息が無理やり通り抜けるときの振動音です。笛が鳴るのと同じ理屈で、通り道が狭いほど、音は大きくなります。
起きている間は、のどの周りの筋肉が通り道を支えています。眠ると筋肉がゆるみ、舌の付け根やのどの奥の組織が沈み込んで、通り道が狭くなります。そこに、鼻づまりや扁桃の大きさ、体重増加などの要因が重なると、いびきとして現れます。
そして、鼻の通りが悪いと口で呼吸するしかなくなります。口呼吸は、のどの乾燥、いびきの悪化、のどの感染への弱さにつながる悪循環の入り口です。いびきと口呼吸は、多くの場合セットで考える必要があります。
いびき・口呼吸の主な原因
鼻づまり(鼻炎・副鼻腔炎・鼻中隔弯曲症)
耳鼻科で最初に確認する、治療可能な原因です
鼻の通りが悪いと口呼吸になり、いびきをかきやすくなります。アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔の曲がりなど、原因はさまざまですが、いずれも治療の対象です。「いびきの治療で鼻を診る」のは遠回りに見えて、実は近道であることが少なくありません。詳しくは鼻水・鼻づまりのページもご覧ください。
扁桃・アデノイドの肥大
お子さまのいびきの、代表的な原因です
のどの扁桃や、鼻の奥にあるアデノイドが大きいと、空気の通り道が物理的に狭くなります。お子さまのいびき・口呼吸・睡眠中の呼吸の乱れの背景として、まず確認すべきものです。成長とともに小さくなることも多いのですが、程度によっては治療や手術の検討が必要になります。
体重の増加
のどの内側にも、脂肪はつきます
体重が増えると、のどの周りの組織が厚くなり、通り道が狭くなります。「太ってからいびきを指摘されるようになった」は、典型的な経過です。減量はいびきへの効果が確かめられている対策のひとつで、耳鼻科の治療と並行して取り組む価値があります。
飲酒・睡眠薬・仰向けの姿勢
「その日だけ大きくなるいびき」の理由です
アルコールや一部の睡眠薬は、のどの筋肉のゆるみを強め、いびきを悪化させます。仰向けの姿勢も、舌の付け根が沈み込みやすくなる要因です。寝酒の習慣がある方は、それ自体がいびきの原因になっている可能性があります。
あごの形・加齢
やせていても、いびきをかく方がいます
あごが小さい・後退している方は、もともと通り道が狭く、体型にかかわらずいびきをかきやすい傾向があります。また、年齢とともにのどの筋肉のハリが落ちることも、いびきが増える要因です。「やせているから大丈夫」とは限りません。
睡眠時無呼吸症候群について
いびきの延長線上で、最も注意したいのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。眠っている間に呼吸が何度も止まり、そのたびに体は酸素不足になり、脳は目覚めかけます。本人は覚えていなくても、体は一晩中、細切れの睡眠を強いられている状態です。
日中の強い眠気や集中力の低下だけでなく、高血圧や心臓・血管の病気のリスクを高めることがわかっており、「いびきの問題」では済まない病気です。運転中の眠気は、事故に直結します。
次のような特徴がある方は、一度検査を受ける価値があります。
- いびきが止まり、しばらくして大きな呼吸とともに再開する(呼吸が止まっていると指摘された)
- 日中、会議中や運転中に強い眠気に襲われる
- 朝起きたときに頭痛がある、熟睡感がない
- 夜中に何度も目が覚める、トイレに起きる
- 高血圧を指摘されている
こんないびきは、受診のサインです
「いびきくらいで」とためらう方が多いのですが、次に当てはまる場合は、体からのサインとして受け取ってください。
こんなときは、ご相談ください
- 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
- 日中の眠気で、仕事や運転に支障が出ている
- 毎晩の大きないびきを、家族に指摘され続けている
- 朝の頭痛、起きても疲れが取れない状態が続いている
- お子さまが、大きないびき・睡眠中の呼吸の乱れ・いつも口を開けている状態にある
特に「呼吸が止まっている」という指摘は、ご本人にはわからない、ご家族だからこそ気づける重要な情報です。指摘された方は、そのことをぜひ診察でお聞かせください。
当院の診療について
いびきの原因は、鼻からのどまでの通り道のどこかにあります。当院ではまず、鼻の中・のど・扁桃の状態を診察し、必要に応じて内視鏡で通り道全体を確認します。どこが狭いのかがわかれば、とるべき対策が決まります。
鼻づまりが原因なら、その治療がいびきの治療になります。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、検査をご案内し、結果に応じた治療につなげます。生活の工夫で改善が見込める場合は、その具体策をお伝えします。「いびきの原因はひとつではない」からこそ、順序立てて調べていきます。
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ご自身でできる対策
- 横向きで寝る:仰向けより通り道がつぶれにくくなります。抱き枕の利用も一案です
- 寝る前の飲酒を控える:寝酒は眠りを浅くし、いびきを大きくします
- 体重を戻す:増えた時期といびきが始まった時期が重なるなら、減量は有力な対策です
- 鼻の症状を放置しない:鼻づまりの治療は、口呼吸といびきの改善に直結します
これらの工夫で改善するいびきもあれば、検査と治療が必要ないびきもあります。自己流の対策だけで完結せず、一度通り道の状態を確認しておくことをおすすめします。
診察の流れ
- 問診いびきの頻度と大きさ、呼吸停止の指摘、日中の眠気、飲酒や体重の変化、鼻の症状を伺います。ご家族からの情報も歓迎です。
- 診察鼻の中、のど、扁桃を観察し、必要に応じて内視鏡で通り道を確認します。
- 検査睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠中の呼吸状態を調べる検査をご案内します。
- 説明通り道のどこに原因がありそうか、検査結果とあわせてご説明します。
- 治療鼻の治療、生活の工夫、必要に応じた専門治療へのご紹介など、原因に応じて進めます。
いびきはご本人が自覚しにくい症状です。ご家族が付き添って、普段の様子を教えていただけると、診療の大きな助けになります。
お子さまのいびき・口呼吸
「子どものいびきは、よく寝ている証拠」ではありません。お子さまの毎晩のいびきは、アデノイドや扁桃の肥大、鼻炎などで空気の通り道が狭くなっているサインであることが多く、大人以上に確認の価値があります。
睡眠中の呼吸が妨げられると、睡眠の質が下がり、日中の集中力や機嫌、成長にも影響しうることが知られています。次のような様子はありませんか。
- 毎晩、大きないびきをかく。呼吸が止まっているように見えるときがある
- いつも口がぽかんと開いている。食事中もロで息をしている
- 寝相が極端に悪い、のけぞるような姿勢で寝る
- 朝の寝起きが悪い、日中ぼんやりしている
- 鼻づまり・鼻水が続いている
当てはまる場合は、一度、鼻とのどの状態を確認させてください。鼻炎の治療で改善することもあれば、アデノイド・扁桃の程度によっては専門的な治療の検討が必要なこともあります。お子さまの様子全般については、子どもの鼻・耳・のど全般のページもご覧ください。
よくあるご質問
いびきだけで受診するのは大げさではありませんか
大げさではありません。いびきは空気の通り道が狭くなっているサインで、背景に治療できる原因が隠れていることが多い症状です。ご家族の睡眠への影響も、立派な受診理由のひとつです。
市販のいびき対策グッズ(テープ・スプレー等)は効果がありますか
口閉じテープは、鼻の通りが良い方の軽いいびきには役立つことがあります。ただし、鼻づまりがある状態で口をふさぐのは危険ですし、睡眠時無呼吸が隠れている場合、グッズで音だけ抑えても問題は解決しません。まず原因を確かめてからの利用をおすすめします。
睡眠時無呼吸の検査は、入院が必要ですか
まずはご自宅でできる簡易検査から始めるのが一般的です。手や鼻にセンサーを着けて眠るだけで、睡眠中の呼吸状態を調べられます。結果によって、より詳しい検査が必要になる場合もあります。検査の進め方は診察時にご案内します。
CPAP(シーパップ)とは何ですか
中等症以上の睡眠時無呼吸症候群に対する標準的な治療で、マスクから空気を送って通り道の閉塞を防ぐ装置です。検査で治療が必要な程度と判断された場合の選択肢のひとつで、適応や導入については検査結果をもとにご説明します。
子どものいびきは、大きくなれば自然に治りますか
アデノイドは成長とともに小さくなるため、自然に改善するお子さまもいます。ただ、それを待つ間に睡眠の質が下がり続けるのは、成長期のお子さまにとって望ましくありません。程度の評価だけでも、一度受けておくことをおすすめします。
