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聞こえない

テレビの音量が大きいと家族に言われる。聞き返すことが増えた。電話の声が聞き取りにくい。片方の耳だけ、急に聞こえなくなった。

「聞こえづらい」には、ゆっくり進むものと、一刻を争うものが混ざっています。特に、急に起こった聞こえの低下は治療のタイミングが結果を左右します。このページでは、聞こえにくさの原因と、当院での診療についてご説明します。

聞こえの診察の様子
画像 [1] 診察・聴力検査の写真
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急な聞こえの低下は、すぐ受診を

このページで、まず最初にお伝えしたいことです。

こんなときは、数日待たずにご相談ください

  • 片方の耳が、突然聞こえなくなった・聞こえにくくなった
  • 朝起きたら、耳が詰まったように聞こえない
  • 急な聞こえの低下に、めまいや耳鳴りを伴う
  • 音がひどく響く、二重に聞こえるようになった

突発性難聴をはじめとする急性の難聴は、治療の開始が遅れるほど聞こえが戻りにくくなることが知られています。「疲れのせいだろう」「数日様子を見よう」が、いちばん避けたい判断です。仕事の都合がつかない場合も、できるだけ早くお越しください。

聞こえの仕組みと、難聴の2タイプ

音は、外耳道を通って鼓膜を振動させ、その振動が中耳の小さな骨で増幅され、内耳で電気信号に変換されて脳に届きます。この経路のどこに問題があるかで、難聴は大きく2つに分けられます。

伝音難聴

音を「伝える」部分(外耳・中耳)の問題。耳あかの詰まり、中耳炎、鼓膜の損傷などが原因で、治療によって聞こえの改善が期待しやすいタイプです。

感音難聴

音を「感じる」部分(内耳・神経)の問題。突発性難聴、加齢による難聴、騒音による難聴などが含まれます。原因により、治療を急ぐものと、聞こえを補う対応が中心になるものがあります。

聴力検査を行うと、どちらのタイプか、どの高さの音がどの程度聞こえにくいのかがわかります。同じ「聞こえづらい」でも、対処はここで大きく分かれます。

考えられる主な原因

突発性難聴

時間との勝負。疑ったら、その日のうちに

ある日突然、多くは片方の耳が聞こえにくくなる病気です。耳鳴りやめまいを伴うこともあります。原因ははっきり解明されていませんが、内耳の血流障害やウイルスの関与が考えられています。

治療開始までの時間が、聞こえの回復に大きく影響します。発症からできるだけ早く、遅くとも1〜2週間以内に治療を始めることが望ましいとされています。

耳あかの詰まり(耳垢栓塞)

実は多い、そしてすぐ解決できる原因です

耳あかが外耳道をふさいで聞こえにくくなっている状態です。ご自身の掃除で奥に押し込んでしまっているケースも少なくありません。当院で安全に取り除けば、その場で聞こえが戻ります。耳掃除だけの受診も、まったく問題ありません。

滲出性中耳炎

痛みのない中耳炎。お子さまに多い病気です

鼓膜の奥に液体がたまり、音が伝わりにくくなる病気です。痛みや熱がないため気づかれにくく、お子さまでは「テレビに近づく」「呼んでも振り向かない」といった様子から見つかることがあります。風邪や鼻の症状のあとに起こりやすく、鼻の治療とあわせて診ていきます。

加齢性難聴

高い音から、ゆっくりと

年齢とともに内耳の細胞が減ることで起こる難聴です。高い音や、早口・小声の聞き取りから難しくなっていくのが特徴です。治して元に戻すことは難しいのですが、補聴器などで聞こえを補うことで、会話や生活の質は大きく変わります。

騒音性難聴・音響外傷

大きな音の環境、イヤホンの長時間使用

工事現場や工場などの騒音環境、ライブやイベントでの大音量、イヤホン・ヘッドホンの大音量での長時間使用によって、内耳が傷つくことで起こります。一度傷ついた内耳の細胞は戻りにくいため、予防がなにより重要です。音量を下げる、連続使用を避ける、騒音環境では耳栓を使う。この習慣が将来の聞こえを守ります。

当院の診療について

「聞こえ」は、大学病院で向き合ってきたテーマです。

院長は埼玉医科大学病院の耳鼻咽喉科・神経耳科で、難聴とめまいの診療にあたってきました。聞こえの症状は、めまいと同じく内耳が関わることが多く、両方をあわせて診ることが正確な判断につながります。めまいを伴う方はめまいのページもご覧ください。

診察ではまず耳の中を確認し、耳あかや中耳炎など「治せる原因」がないかを見ます。そのうえで聴力検査を行い、難聴のタイプと程度を確かめます。より詳しい検査や治療が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介します。

聴力検査

聴力検査室と検査機器
画像 [2] 聴力検査室・検査機器の写真
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ヘッドホンから流れる音を聞いてボタンを押していただく検査で、どの高さの音が、どの程度聞こえているかを調べます。痛みはなく、数分〜十数分で終わります。「聞こえの状態を数字で知る」ことは、治療方針の土台になるだけでなく、今後の変化を追いかける基準にもなります。

診察の流れ

  1. 問診いつから、片側か両側か、急だったか徐々にか、耳鳴り・めまい・耳の詰まり感の有無を伺います。
  2. 診察耳の中と鼓膜の状態を確認します。
  3. 検査聴力検査で、聞こえのタイプと程度を調べます。
  4. 説明検査結果をお見せしながら、考えられる原因と見通しをご説明します。
  5. 治療原因に応じた治療を行います。専門的な治療や精密検査が必要な場合は、適切な医療機関へご紹介します。

結果のご説明では、検査の数字が何を意味するのかを、図をお見せしながらお伝えします。わからないことは、何度でも聞き返してください。

ご高齢の方の聞こえ

聞こえの相談の様子
画像 [3] 補聴器相談・説明の風景
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聞こえにくさを「年のせいだから仕方ない」と受け入れてしまう方は少なくありません。けれど、聞こえの低下を放っておくことには、会話が億劫になる、外出や人付き合いが減る、といった生活の縮小がついてきます。近年は、難聴を放置することと認知機能の低下との関連も指摘されています。

まずは聴力検査で、いまの聞こえを数字で知るところからです。耳あかや中耳炎など、治せる原因が見つかることもあります。そのうえで、聞こえを補ったほうがよい段階であれば、補聴器という選択肢についてもご相談に乗ります。

補聴器は「買えば終わり」の道具ではなく、聞こえに合わせた調整を重ねて使いこなしていくものです。ご本人のペースを尊重しながら、急がずに進めていきましょう。ご家族の付き添いも歓迎です。

お子さまの聞こえ

お子さまは、自分から「聞こえにくい」とは言いません。次のような様子は、聞こえの低下のサインかもしれません。

  • テレビの音量を上げたがる、画面に近づいて見る
  • 呼びかけへの反応が鈍い、聞き返しが多い
  • 発音がはっきりしない、ことばの発達がゆっくりに感じる
  • 園や学校で、指示が伝わっていないと言われた

背景として多いのは、痛みのない滲出性中耳炎です。風邪や鼻炎のあとに起こりやすく、聞こえにくい状態が続くと、ことばの発達や学習にも影響しうるため、「様子がおかしいな」と感じた時点でのご相談をおすすめします。鼓膜を見ればその場で確認できることも多い病気です。

よくあるご質問

耳あかを取るだけでも受診していいですか

もちろんです。耳あかの除去は耳鼻咽喉科の診療のひとつで、保険診療の対象です。ご自身での耳掃除はかえって押し込んでしまうことも多いので、気になったらお越しください。

数日前から片耳が聞こえません。仕事が忙しいので来週でもいいですか

できるだけ早くの受診をおすすめします。突発性難聴であれば、治療の開始が遅れるほど聞こえが戻りにくくなります。発症から時間がたっていない今が、いちばん治療の効果を期待できるタイミングです。

聴力検査は痛くありませんか。時間はかかりますか

痛みは全くありません。ヘッドホンから聞こえる音に合わせてボタンを押していただく検査で、数分〜十数分で終わります。

補聴器を勧められるのが嫌で、受診をためらっています

補聴器を無理にお勧めすることはありません。まず検査で聞こえの状態を確認し、治せる原因があれば治療を優先します。補聴器の話をするとしても、検査結果をお見せしながら、ご本人が納得できるペースで進めます。

イヤホンで音楽をよく聴きます。聞こえに影響しますか

大音量での長時間使用は、内耳を傷つける原因になります。音量は最大の6割程度まで、1時間使ったら休憩を挟む、周囲の騒音が大きい場所ではノイズキャンセリング機能を使って音量を上げすぎない、といった工夫で予防できます。