耳だれ
耳から液体が出てきた。枕に染みがついていた。お子さまの耳から黄色い液が垂れている。耳だれ(耳漏)は、目に見えるぶん驚かれる症状ですが、慌てる必要はありません。
耳だれは「耳のどこかで炎症が起きています」という体からのサインです。出てきた液体の正体と出どころを確かめれば、原因はかなり絞り込めます。このページでは、耳だれの原因と、受診までにしていただきたいこと・避けていただきたいことをご説明します。
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受診までにしてほしいこと・避けてほしいこと
耳だれに気づいたとき、まずこのページを開いた方のために、最初にお伝えします。
- 拭くのは耳の入り口まで:あふれてきた分を、清潔なティッシュやガーゼでやさしく拭き取ってください
- 綿棒を耳の中に入れない:奥まで拭おうとすると、傷を広げたり、細菌を押し込んだりする原因になります
- 耳栓や綿を詰めない:耳だれは外に出したほうがよいものです。ふさぐと中にたまり、悪化のもとになります
- 手持ちの点耳薬を自己判断で使わない:原因によっては使ってはいけないお薬もあります。診察までお待ちください
- お風呂は入ってかまいません:耳に水が入らないよう、洗髪時に少し注意していただければ、シャワーや入浴は問題ありません
可能であれば、耳だれの色(透明・黄色・白っぽい・血が混じる)と、いつから出ているかを覚えておいてください。診察の大きな手がかりになります。
耳だれの色や性状は、原因のヒントです
ひとくちに耳だれといっても、その中身はさまざまです。
黄色〜白っぽい・にごった液
細菌感染による膿であることが多く、急性中耳炎や外耳炎で典型的にみられます。においを伴うこともあります。
さらさらした透明な液
外耳道の湿疹やアレルギーによる浸出液などが考えられます。かゆみを伴うことが多いタイプです。
血が混じる液
外耳道の傷、鼓膜の損傷、強い炎症などで起こります。頭のけがのあとの場合は、すぐに医療機関へ。
ただし、色だけで自己判断はできません。同じ色でも出どころ(外耳道か、鼓膜の奥か)によって病気が変わるためです。実際に耳の中を見て、どこから出ているかを確かめることが診断の中心になります。
耳だれの主な原因
急性中耳炎(鼓膜穿孔を伴うもの)
お子さまの耳だれで、まず考える原因です
中耳にたまった膿の圧力で鼓膜に小さな穴があき、膿が外に流れ出た状態です。実は、耳だれが出ると圧力が抜けるため、強かった痛みが急に楽になることが多いのです。「痛がっていたのに、耳だれが出たら泣きやんだ」は典型的な経過ですが、治ったわけではありません。鼓膜の穴は適切な治療でほとんどが自然にふさがりますので、痛みが引いても必ず受診してください。詳しくは耳の痛み・中耳炎のページをご覧ください。
外耳炎(外耳道炎)
耳掃除のしすぎ、イヤホンの長時間使用で
外耳道の皮膚の炎症から、浸出液や膿が出るものです。耳を引っぱると痛い、かゆみが先にあった、という場合はこちらを疑います。耳掃除による小さな傷や、イヤホン・補聴器の長時間使用による蒸れが引き金になります。
慢性中耳炎
耳だれをくり返す、聞こえにくさもある
鼓膜に穴が残ったままになり、風邪や水の侵入をきっかけに耳だれをくり返す状態です。「昔から時々耳だれが出る」「プールのあとに必ず出る」という方はこのタイプかもしれません。聞こえにくさを伴うことも多く、治療の選択肢を含めて一度きちんと評価する価値があります。
外耳道湿疹・真菌感染
かゆみが主役の耳だれです
かゆみ→掻く→傷→浸出液→かさぶた→またかゆい、という悪循環になりやすいタイプです。カビ(真菌)が関わっている場合は、通常の抗菌薬では治らず、耳の中の清掃と抗真菌薬による根気強い治療が必要になります。
真珠腫性中耳炎
頻度は高くありませんが、見逃せない病気です
鼓膜の一部が奥に入り込み、周囲の骨を溶かしながら進行する病気です。においの強い耳だれがくり返し出る、聞こえが徐々に落ちてきた、という経過が特徴です。進行すると手術が必要になるため、くり返す耳だれは「いつものこと」にせず、一度ご相談ください。手術が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介します。
早めに受診してほしい症状
耳だれ自体、放置せず受診していただきたい症状ですが、特に次の場合は急ぎでお願いします。
こんなときは、早めにご相談ください
- 強い痛みや高熱を伴う
- 耳の後ろが赤く腫れている、押すと痛い
- 顔の動きに左右差がある(口元が曲がる、目が閉じにくい)
- 激しいめまいや、急な聞こえの低下を伴う
- 頭を打ったあとから、透明な液や血が混じった液が出ている
- においの強い耳だれが、くり返し出ている
頭のけがのあとの透明な耳だれは、耳とは別の場所からの液体である可能性があり、救急での対応が必要です。当院の受診を待たず、救急外来へお願いします。
当院の診療について
耳だれの治療は、まず耳の中を観察し、たまった耳だれをていねいに取り除くところから始まります。出どころが見えなければ正しい診断ができませんし、耳だれが残ったままでは、点耳薬も患部に届きません。
そのうえで、原因に応じて点耳薬や内服薬を選びます。細菌なのか、カビなのか、湿疹なのかで、使うべきお薬はまったく変わります。ここでも、なぜそのお薬なのか、抗菌薬が必要な場合はなぜ必要なのかを、ご説明したうえで処方します。
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通院についてお願いしたいこと
耳だれの治療は、耳の中の清掃と点耳薬を組み合わせ、数回の通院で経過を見ることが多くなります。特に真菌(カビ)が原因の場合は、見た目がよくなってからも菌が残っていることがあり、自己判断での中断が再発のもとになります。「よくなった気がするから行かない」ではなく、治りきったことを確認して終わりにしましょう。当院は松戸駅から徒歩2分ですので、お仕事や買い物の途中に立ち寄る形で続けていただけます。
診察の流れ
- 問診いつから、どんな色の耳だれか、痛み・かゆみ・聞こえの変化の有無、耳掃除の習慣、過去の中耳炎の経験を伺います。
- 診察耳の中を観察し、耳だれの出どころ(外耳道か、鼓膜の奥か)と鼓膜の状態を確認します。
- 処置たまった耳だれをていねいに取り除き、耳の中をきれいにします。
- 検査必要に応じて、聴力検査や、耳だれの菌を調べる検査を行います。
- 説明と治療原因と見通しをご説明し、点耳薬・内服薬など原因に応じた治療を行います。
お子さまの診察では、これから何をするのかを本人に伝えることを大切にしています。処置と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、こわい思いをさせないよう、ペースを見ながら進めます。
くり返さないために
耳だれをくり返す背景には、日常の習慣が関わっていることが少なくありません。
- 耳掃除を控える:外耳炎・外耳道湿疹の最大の予防です。かゆくても掻かない。かゆみが続くなら、それ自体を治療しましょう
- イヤホンを清潔に、長時間使用を避ける:蒸れと雑菌は外耳炎のもとです。使用後に軽く拭く習慣をおすすめします
- 鼻の症状を放置しない:中耳炎からの耳だれは、鼻の炎症から始まります。鼻水・鼻づまりが続くときは、耳を守るためにも鼻の治療を
- 鼓膜に穴があると言われたことのある方は、水への注意を:プールや洗髪の際の水の侵入が、耳だれの引き金になります。付き合い方を診察でご案内します
よくあるご質問
子どもの耳だれが出たら、痛みが消えました。受診は必要ですか
必要です。中耳炎で鼓膜に穴があき、膿が出て圧力が抜けたために痛みが楽になった、という典型的な経過が考えられます。炎症はまだ続いていますし、鼓膜の穴がきちんとふさがるかの確認も必要です。楽になっていても、受診してください。
耳だれが出ているとき、お風呂やプールはどうすればいいですか
シャワーや入浴は、耳に直接水が入らないよう気をつけていただければ問題ありません。プールは治療が終わるまでお休みしてください。再開のタイミングは、耳の状態を見て診察時にお伝えします。
市販の点耳薬を使ってもいいですか
おすすめしません。耳だれの原因が細菌かカビか湿疹かで、使うべきお薬が変わります。原因に合わないお薬はかえって悪化させることがあり、特に鼓膜に穴があいている場合には使えないお薬もあります。診察で原因を確かめてからにしましょう。
耳だれがにおいます。大丈夫でしょうか
においの強い耳だれは、細菌感染や、くり返す場合は真珠腫性中耳炎など、きちんと確認したい原因のサインです。恥ずかしがる必要はまったくありません。よくあるご相談ですので、そのままの状態でお越しください。
何年も前から、時々耳だれが出ます。今さらですが受診すべきですか
ぜひ一度お越しください。長年くり返す耳だれの背景には、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎など、評価しておくべき病気が隠れていることがあります。聞こえへの影響も含めて、現状をきちんと確認する価値があります。
