耳の痛み
ズキズキ痛む。押すと痛い。飲み込むと響く。夜中に子どもが耳を押さえて泣き出した。耳の痛みは我慢しづらい症状のうえ、お子さまに起こることが多く、ご家族を慌てさせる症状でもあります。
耳の痛みの原因の多くは、中耳炎や外耳炎といった耳の炎症です。一方で、耳以外に原因がある「関連痛」も混ざっています。このページでは、耳の痛みの原因と、当院での診療についてご説明します。
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耳の痛みの主な原因
急性中耳炎
お子さまの耳の痛みで、もっとも多い原因です
鼓膜の奥(中耳)に細菌やウイルスが入り、炎症を起こす病気です。多くは風邪や鼻水に続いて起こります。鼻の奥と中耳をつなぐ耳管が、お子さまでは短く水平に近いため、鼻の細菌が中耳に届きやすいのです。ズキズキする痛み、発熱、耳だれ、不機嫌、夜泣きなどが主なサインです。
外耳炎(外耳道炎)
耳掃除のしすぎが、いちばんの原因です
耳の穴から鼓膜までの通り道(外耳道)の皮膚に炎症が起こる病気です。耳を引っぱると痛い、口を動かすと痛い場合はこちらを疑います。耳掃除で皮膚を傷つけることが最大の原因で、プールや入浴後の湿った状態も悪化の要因になります。かゆみから始まることも多い病気です。
航空性中耳炎・気圧による痛み
飛行機、高層エレベーター、ダイビングのあとに
急な気圧の変化に耳管の調整が追いつかず、鼓膜の内外の圧力差で痛みが出るものです。鼻炎や風邪で耳管の働きが落ちているときに起こりやすくなります。多くは自然に治りますが、痛みや詰まり感が続く場合はご相談ください。
耳以外が原因の痛み(関連痛)
耳を診ても異常がないときに疑います
のどの炎症、扁桃炎、顎関節症、首や歯の問題が、耳の痛みとして感じられることがあります。耳とのど・あごは神経を共有しているためです。診察で耳に異常がなければ、こうした周辺の原因を確認します。飲み込むときだけ耳が痛む場合は、のどの炎症のサインであることが多く、風邪症状のページもご参考ください。
お子さまの中耳炎について
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急性中耳炎は、多くのお子さまが一度は経験する病気です。特に3歳頃までは耳管が未発達で、風邪のたびに中耳炎を起こすお子さまも珍しくありません。成長とともに耳管が発達すると、かかりにくくなっていきます。
まだ「耳が痛い」と言えない年齢では、次のような様子がサインになります。
- 耳をよく触る、引っぱる
- 不機嫌が続く、夜泣きが増えた、夜中に急に泣き出す
- 発熱(風邪の熱が下がったあとの再発熱にも注意)
- 耳から液体が出ている(耳だれ)
- 呼びかけへの反応が鈍い
風邪や鼻水が続いているときにこれらの様子が見られたら、一度耳の中を確認させてください。鼓膜を見れば、その場で診断がつくことがほとんどです。
夜間に痛がったときの応急対応
耳の痛みは、夜間に強くなりがちです。夜中にお子さまが痛がり出したとき、多くの場合は朝までご自宅で様子を見て、翌日に受診いただいて大丈夫です。
- 痛み止めを使ってかまいません:お子さま用の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)があれば、使ってあげてください。痛みを我慢させるメリットはありません
- 痛む側の耳を冷やす:冷たいタオルを当てると、痛みがやわらぐことがあります
- 頭を少し高くして寝かせる:横になると痛みが強くなるためです
- 耳の中はいじらない:綿棒などで触ると悪化させることがあります
ぐったりしている、水分がとれない、耳の後ろが赤く腫れて立っている、といった場合は、朝を待たず夜間救急へ。そうでなければ、痛みを抑えて休ませ、翌日お越しください。
早めに受診してほしい症状
耳の痛みの多くは適切な治療でよくなりますが、次のような場合は放置せず、早めの受診をお願いします。
こんなときは、早めにご相談ください
- 痛みが強く、痛み止めが効かない
- 耳の後ろが赤く腫れている、耳が前に押し出されて見える
- 耳だれが続いている
- 聞こえにくさを伴う
- 高熱が続く、ぐったりしている
- 顔の動きに左右差がある(口元が曲がる、目が閉じにくい)
- 激しいめまいを伴う
特に、耳の後ろの腫れや顔の動きの異常は、中耳炎の炎症が周囲に広がっているサインの可能性があります。頻度は高くありませんが、急いで対応すべき状態です。
当院の診療について
お子さまの急性中耳炎は、軽症であれば抗菌薬を使わずに、痛みを抑えながら経過を見ることが選択肢になります。国内の診療ガイドラインでも、重症度に応じた対応が示されています。一方、中等症以上や乳幼児では、抗菌薬をしっかり使うべき場面があります。
大切なのは、鼓膜の状態と重症度を確かめたうえで、その子に必要な治療を選ぶことです。抗菌薬を使う場合も使わない場合も、なぜその判断なのかをご説明します。「なぜ今日は抗生物質が出ないのか」が気になったら、遠慮なくお尋ねください。
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鼻の治療も、中耳炎の治療です
中耳炎の多くは、鼻の炎症から始まります。鼻水の吸引で鼻の状態を整えることは、中耳炎の回復を助け、くり返しを防ぐことにつながります。耳だけでなく、鼻もあわせて診ていきます。鼻の症状については鼻水・鼻づまりのページもご覧ください。
治りきるまで、確認します
急性中耳炎は、痛みが引いても、鼓膜の奥に液体が残っていることがあります。これが痛みのない滲出性中耳炎に移行すると、聞こえにくさが続く原因になります。「痛くなくなったから終わり」にせず、鼓膜が元に戻るまで確認することを大切にしています。
診察の流れ
- 問診いつから痛むか、風邪や鼻水が先行していたか、耳だれや発熱の有無を伺います。
- 診察耳の中と鼓膜の状態を確認します。あわせて鼻とのどの状態も診ます。
- 説明鼓膜の状態と重症度、治療の選択肢をご説明します。
- 治療痛みへの対応、必要に応じた抗菌薬、鼻の処置などを行います。
- 経過確認鼓膜が元の状態に戻るまで、経過を確認します。
お子さまの診察では、これから何をするのかを本人に伝えることを大切にしています。「耳鼻科はこわい場所」という記憶を残さないことも、次に困ったときにきちんと受診できるかどうかにつながると考えているからです。
中耳炎をくり返さないために
くり返す中耳炎の背景には、多くの場合「鼻」があります。ご家庭でできることは、地道ですが確実に効きます。
- 鼻水をためない:かめる年齢なら片方ずつやさしく。かめないうちは鼻吸い器で。うまく吸えないときは当院で吸引します
- 鼻すすりの癖を直す:すすった鼻水は耳管から中耳へ向かいます。「すすらず、かむ」が基本です
- 風邪・鼻炎を長引かせない:鼻の症状が続いているときが、中耳炎のリスクが高い時期です
- 耳掃除はほどほどに:外耳炎の予防です。耳あかには外耳道を守る役割もあり、頻繁な掃除はかえって逆効果です
よくあるご質問
痛みが治まりました。受診しなくても大丈夫ですか
一度受診をおすすめします。痛みが引いても、鼓膜の奥に液体が残っていることがあり、放っておくと聞こえにくさが続く滲出性中耳炎に移行することがあります。鼓膜を確認すれば、治りきっているかどうかがわかります。
中耳炎のとき、お風呂やプールはどうすればいいですか
発熱がなく元気であれば、入浴は問題ありません。プールは炎症の程度によって判断が変わりますので、診察の際にご確認ください。耳に水が入ること自体が中耳炎の原因になるわけではありません。中耳炎は鼓膜の内側の病気で、外から水が入っても、鼓膜に穴がなければ中耳には届かないためです。
子どもが何度も中耳炎になります。体質でしょうか
耳管が未発達な時期は、どうしてもくり返しやすいものです。多くは成長とともに落ち着きます。ただ、鼻炎やアレルギーが背景にあってくり返している場合は、鼻の治療で頻度を減らせることがあります。くり返しの状況を診察でお聞かせください。
大人ですが中耳炎になりますか
なります。頻度はお子さまより低いものの、風邪のあとや、鼻炎の悪化時に起こります。大人の場合、痛みよりも耳の詰まり感や聞こえにくさが目立つこともあります。長引く耳の違和感は、一度ご相談ください。
耳掃除はどのくらいの頻度がいいですか
基本的に、耳あかは自然に外へ出てくる仕組みになっており、頻繁な掃除は不要です。掃除をする場合も、入り口から1cm程度までを月1〜2回で十分です。奥まで綿棒を入れると、押し込みや外耳炎の原因になります。気になる場合は、当院での除去をご利用ください。
