耳鳴り
キーンという高い音が続く。セミが鳴いているような音がする。静かな夜になると気になって眠れない。耳鳴りは、周りの人には聞こえないぶん、つらさをわかってもらいにくい症状です。
「耳鳴りは治らない」「気にしないしかない」と言われて、あきらめている方も多いかもしれません。けれど、耳鳴りには原因を調べる価値があり、つらさを減らすためにできることもあります。このページでは、耳鳴りの仕組みと、当院での診療についてご説明します。
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耳鳴りが起こる仕組み
耳鳴りは、外に音源がないのに音が聞こえる状態です。「耳の中で音が鳴っている」ように感じますが、実際には多くの場合、音を処理する脳の働きが関わっていると考えられています。
内耳から脳に届く音の信号が、難聴などで減ってしまうと、脳はその不足を補おうと感度を上げます。このとき、本来なら意識にのぼらないはずの信号まで「音」として拾ってしまう。これが、耳鳴りの代表的なメカニズムとして考えられているものです。
つまり耳鳴りは、耳と脳が音の変化に適応しようとする過程で生じている現象であり、「気のせい」でも「心の問題」でもありません。まずこの点を知っていただくことが、治療のスタートになります。
耳鳴りと難聴の深い関係
耳鳴りのある方の多くに、聴力検査をすると何らかの聞こえの低下が見つかります。ご本人に自覚がないことも珍しくありません。特定の高さの音だけが聞こえにくくなっている場合、日常会話では気づきにくいためです。
だからこそ、耳鳴りの診療は聴力検査から始まります。聞こえの状態がわかると、耳鳴りの背景が見え、とるべき対応が変わってきます。「耳鳴りの検査」とは、実のところ「聞こえの検査」なのです。
聞こえにくさを自覚されている方は、聞こえづらいのページもあわせてご覧ください。
背景に隠れていることがある病気
突発性難聴
急に始まった耳鳴りは、まずこれを疑います
片方の耳の聞こえが突然低下する病気で、耳鳴りや耳の詰まり感が最初のサインになることがあります。治療の開始が遅れるほど聞こえが戻りにくくなるため、急に始まった耳鳴りは数日様子を見ず、早めにお越しください。
加齢性難聴・騒音性難聴
慢性的な耳鳴りの背景として、もっとも多いものです
加齢や騒音によって内耳の細胞が減り、高い音の聞こえが落ちてくると、それを補おうとする脳の働きから耳鳴りが生じやすくなります。「キーン」という高音の耳鳴りが多いのはこのためです。
メニエール病
めまいをくり返す方は、こちらも
低い音の耳鳴りや耳の詰まり感が、めまいの発作と前後して現れるのが特徴です。耳鳴りが「めまいの前ぶれ」になっている方もいらっしゃいます。めまいを伴う方はめまいのページもご覧ください。
耳あか・中耳炎など、耳の通り道の問題
治療でそのまま解消することがあります
耳あかの詰まりや滲出性中耳炎で音の通りが悪くなると、耳の詰まり感とともに耳鳴りを感じることがあります。原因を取り除けば耳鳴りも消える、いちばん解決しやすいタイプです。
拍動性耳鳴り
脈に合わせて「ドクドク」と鳴るタイプ
心臓の拍動と同じリズムで聞こえる耳鳴りは、血管や血流が関わっている可能性があり、通常の耳鳴りとは分けて考えます。頻度は高くありませんが、確認すべき原因が隠れていることがあるため、このタイプは一度ご相談ください。
受診を急いでほしい耳鳴り
慢性的な耳鳴りの多くは、急を要するものではありません。ただ、次の場合は早めの受診をお願いします。
こんなときは、早めにご相談ください
- 耳鳴りが突然始まり、聞こえの低下や耳の詰まり感を伴う
- 片側だけの耳鳴りが続いている
- 脈打つよう(ドクドク・ザッザッ)に聞こえる
- めまいをくり返している
- 耳鳴りで眠れない、日中も頭から離れず生活に支障が出ている
特に、急に始まった耳鳴りは突発性難聴の可能性があり、時間との勝負です。「耳鳴りくらいで」とためらわず、お越しください。つらさが強い場合も、それ自体が立派な受診理由です。
当院の診療について
耳鳴りの診療で当院が最初にすることは、原因の確認です。院長は大学病院の神経耳科で難聴・めまいの診療にあたっており、耳鳴りはその両方と深く関わる症状です。
治療で消せる耳鳴りなのか、聞こえを補うことで軽くなる耳鳴りなのか、付き合い方を工夫していく耳鳴りなのか。タイプによって、できることが変わります。そして、たとえ完全には消えない耳鳴りでも、「気になる度合い」を下げていくことは可能です。そのための選択肢を、一緒に探していきます。
検査
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耳の中の観察と聴力検査を行い、聞こえの状態と、耳あか・中耳炎など治療できる原因の有無を確認します。より詳しい検査や画像検査が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介します。
治療について
原因や状態に応じて、内服薬による治療、背景にある難聴・鼻炎などの治療を行います。聞こえの低下が背景にある場合、補聴器で聞こえを補うことで耳鳴りが気になりにくくなる方もいらっしゃいます。
お薬をお出しする場合は、何を目的に、いつまで使うのかをご説明します。耳鳴りの治療は「音を完全に消すこと」だけがゴールではありません。眠れるようになる、仕事に集中できるようになる、気にならない時間が増える。そうした変化も、大切な前進です。
診察の流れ
- 問診いつから、どんな音か(高い音・低い音・脈打つ音)、片側か両側か、聞こえの変化やめまいの有無、眠れているかを伺います。
- 診察耳の中と鼓膜の状態を確認します。
- 検査聴力検査で聞こえの状態を調べます。
- 説明耳鳴りの背景として考えられることと、とれる選択肢をご説明します。
- 治療原因と状態に応じた治療を行い、経過を一緒に見ていきます。
耳鳴りのつらさは、音の大きさだけでは測れません。どんな場面で困っているか、生活のどこに影響が出ているかを、遠慮なくお話しください。
耳鳴りとの付き合い方
耳鳴りは、静けさと疲れで大きくなり、注意を向けるほど気になる性質があります。この性質を逆手にとった工夫が、日常でできる対策になります。
- 無音を避ける:静まり返った部屋では耳鳴りが目立ちます。眠るときに小さな音量で音楽や環境音を流すと、耳鳴りが紛れて眠りやすくなることがあります
- 睡眠と疲労に気を配る:疲れや睡眠不足の日に耳鳴りが強くなる方は多くいらっしゃいます。耳鳴りのためにも、休息は治療の一部です
- 大きな音から耳を守る:騒音は内耳への負担になります。イヤホンの大音量や騒音環境を避けることは、耳鳴りの悪化予防につながります
- 「聞こうとしない」練習:耳鳴りを確認する癖(今日は鳴っているか、と耳を澄ます)は、脳に「重要な音」と学習させてしまいます。気づいても、そのまま流す。すぐには難しくても、少しずつで大丈夫です
こうした工夫は、耳鳴りを「消す」ものではありませんが、「気になる度合い」を確実に下げていきます。診察では、あなたの生活に合わせた具体的な方法を一緒に考えます。
よくあるご質問
耳鳴りは治りますか
原因によります。耳あかや中耳炎など通り道の問題が原因なら、治療でそのまま消えることがあります。内耳や脳の適応が関わる慢性的な耳鳴りは、完全に消すことが難しい場合もありますが、気になる度合いを下げていく方法はあります。まずは原因を確かめるところからです。
ずっと前からある耳鳴りです。今さら受診する意味はありますか
あります。長年の耳鳴りの背景に、自覚のない聞こえの低下が見つかることは珍しくありません。聞こえを補うことで耳鳴りが楽になる場合もありますし、現状を数字で知っておくこと自体が、今後の変化に気づく基準になります。
ストレスで耳鳴りは起こりますか
ストレスや疲労、睡眠不足は耳鳴りを強くする要因になります。ただし「ストレスのせい」と決めつけて耳の検査をしないままにするのは順番が逆です。まず耳の原因を確認したうえで、生活の要因もあわせて考えていきます。
耳鳴りがうるさくて眠れません
おつらい状態だと思います。眠るときに小さな音量で環境音を流すなど、今夜からできる工夫もありますが、眠れないほどの耳鳴りは治療の対象です。我慢を続けず、受診してください。睡眠への影響も含めて、対応を一緒に考えます。
片耳だけキーンとします。放っておいて大丈夫ですか
片側だけの耳鳴りは、両側のものと比べて、背景に確認すべき原因が隠れていることがあるタイプです。急に始まった場合は特に、早めに一度ご相談ください。
