子どものみみはなのど全般
鼻水がずっと続いている。何度も中耳炎になる。夜中に耳を痛がる。いびきが気になる。うまく症状を言えない子どもの不調は、「これくらいで受診していいのかな」と迷いがつきものです。
先にお答えします。迷ったら、来てください。お子さまの耳・鼻・のどは、大人の縮小版ではなく、構造も、かかりやすい病気も、診かたも違います。このページでは、お子さまに多い症状と病気、当院の小児診療の考え方をまとめてご説明します。
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子どもの耳・鼻・のどは、大人と違います
お子さまが中耳炎や鼻の病気をくり返すのは、体の構造そのものに理由があります。
鼻と耳をつなぐ「耳管」は、お子さまでは太く短く、水平に近い角度でつながっています。そのため、鼻の細菌やウイルスが耳へ届きやすく、風邪のたびに中耳炎を起こしやすいのです。また、鼻の奥のアデノイドや、のどの扁桃は、子ども時代にいちばん大きくなる組織で、いびきや鼻づまり、中耳炎のくり返しに関わります。
さらに、お子さまは気道そのものが細いという特徴があります。大人なら「のどが少し腫れた」で済む状態でも、お子さまでは空気の通り道が大きく狭まることがあります。呼吸に関わる症状で、より早い判断が必要になるのはこのためです。
これらは成長とともに変わっていきます。耳管は角度がつき、アデノイドは小さくなり、感染への抵抗力もついていく。つまり、いま病気をくり返していても、多くは「その子の弱さ」ではなく「その年齢の通り道」なのです。焦らず、しかし放置せず、成長を味方につけながら付き合っていくことが、小児の耳鼻科診療の基本です。
言葉にできない子どもの「サイン」
お子さまは、症状を言葉にできません。かわりに、行動が教えてくれます。ご家庭で気づける代表的なサインをまとめました。
耳のサイン
耳をよく触る・引っぱる/夜中に急に泣く/呼んでも振り向かない/テレビの音量を上げたがる・近づいて見る/聞き返しが増えた
鼻のサイン
いつも口が開いている/鼻をすする・こする癖/いびきをかく/食事中に息継ぎするように食べる/においに気づかない
のどのサイン
食欲が落ちた/飲み込むときに泣く・嫌がる/よだれが増えた/声がかれている/ケンケンという咳をする
これらのサインは、体調の変化と重なって現れたとき、特に意味を持ちます。「風邪のあとから、耳をよく触る」「鼻水が続いてから、聞き返しが増えた」。そんな組み合わせに気づいたら、一度診察を受けてみてください。
お子さまに多い病気
急性中耳炎・滲出性中耳炎
痛がる中耳炎と、痛くない中耳炎があります
風邪に続いて起こる急性中耳炎は、痛みと発熱が目立ちます。一方、鼓膜の奥に液体がたまる滲出性中耳炎は痛みがなく、聞こえにくさだけが続くため、気づかれにくい病気です。急性中耳炎のあとに移行することも多く、「治ったあとの確認」までが治療です。詳しくは耳の痛み・中耳炎のページ、聞こえの話は聞こえづらいのページをご覧ください。
副鼻腔炎・長引く鼻水
「鼻水が2週間続く」は、よくあるご相談です
お子さまは風邪のたびに鼻水が続き、治りきる前に次の風邪をもらう、ということをくり返します。ただ、色つきの鼻水が長引く場合は副鼻腔炎に進んでいることがあり、鼻の治療で経過が変わります。鼻水の吸引だけの通院も歓迎です。鼻水・鼻づまりのページもご覧ください。
アレルギー性鼻炎・花粉症
発症の低年齢化が進んでいます
「毎年同じ時期に風邪が長引く」「一年中鼻をすすっている」の背景に、アレルギーが隠れていることがあります。6歳以上のお子さまは、血液検査で原因を確かめたうえで、お薬に加えて舌下免疫療法も選択肢になります。5歳以下のお子さまは、症状に応じたお薬の治療で対応します。花粉症のページで詳しくご説明しています。
アデノイド・扁桃肥大によるいびき
「子どものいびき=よく寝ている」ではありません
毎晩の大きないびきや睡眠中の呼吸の乱れは、アデノイドや扁桃で通り道が狭くなっているサインです。睡眠の質は、日中の集中力や成長に関わります。いびき・口呼吸のページをご覧ください。
のどの感染症(溶連菌・夏かぜなど)
園や学校の流行情報が、診断のヒントになります
溶連菌感染症、ヘルパンギーナ、手足口病など、集団生活のなかで流行する、のどの感染症があります。迅速検査で調べられるものもあり、原因によって対応が変わります。のどの痛みのページもご参考ください。
耳あか・鼻の異物
「取ってもらうだけ」の受診で大丈夫です
お子さまの耳あか除去は、無理に家庭で行うとかえって危険です。当院で安全にお取りします。また、小さなお子さまがビーズや食べ物を鼻に入れてしまうことは珍しくありません。片側だけの鼻づまりやにおいのある鼻水は異物のサインのことがあります。押し込む前に、受診してください。ただし、ボタン電池や磁石を入れた・飲み込んだ可能性がある場合は例外です。診療時間を待たず、救急外来を受診してください。
救急外来を受診してほしいとき
お子さまの症状の多くは、翌日の受診で間に合います。ただし、次の場合は当院の診療時間を待たず、救急外来を受診してください。
すぐに救急外来へ/ためらわず救急車を
- 息が苦しそう、呼吸のたびに音がする、肩で息をしている
- ケンケンという咳とともに、息を吸うのが苦しそう
- のどや鎖骨の上がへこむような、力を込めた呼吸をしている
- よだれを飲み込めず、ぐったりしている
- 前かがみの姿勢でないと苦しがる
- 唇や顔色が青白い、呼びかけへの反応が鈍い
- ボタン電池・磁石を飲み込んだ、鼻や耳に入れた可能性がある
- 水分がとれず、おしっこが半日以上出ていない
当院の診療時間内であっても、これらの症状がある場合は当院ではなく救急外来を受診してください。
判断に迷うときは、こども医療でんわ相談#8000、または救急安心センター#7119へ。呼吸が苦しそうな場合や、ぐったりしている場合は、迷わず119番へご連絡ください。
お子さまは大人より気道が細く、短時間で急速に悪化することがあります。呼吸に関わる症状は、様子を見ている間に手遅れになりかねません。「大げさかもしれない」と迷ったときこそ、救急を選んでください。
特にボタン電池は、飲み込んでから数時間で粘膜を深く傷つけます。症状がまだ出ていなくても、疑いの段階で受診が必要です。可能であれば、同じ種類の電池や製品のパッケージをお持ちください。
その日のうちに、当院へご相談ください
- 耳の後ろが赤く腫れている、耳が立って見える
- 耳を痛がる、耳だれが出ている
- 鼻水が2週間以上続いている、色のついた鼻水が長引く
- 聞き返しが増えた、呼んでも振り向かないことがある
- 毎晩いびきをかく、寝ている間に呼吸が止まっているように見える
- 片側だけの鼻づまり、においのある鼻水(異物の可能性)
耳の後ろの腫れは、中耳炎の炎症が周囲の骨に及びかけているサインです。早い段階であれば、お薬と外来での経過観察で治まることが多いため、その日のうちにご相談ください。ただし、高い熱を伴ってぐったりしている場合や、夜間・休診日に気づいた場合は、朝を待たず救急外来を受診してください。
そのほかは中耳炎、副鼻腔炎、アデノイド肥大などの可能性がある症状です。すぐに危険というわけではありませんが、放っておくと聞こえや睡眠に影響することがあります。診療時間内にご相談ください。
当院の小児診療について
当院がお子さまの診察でいちばん大切にしているのは、これから何をするのかを、お子さま本人に伝えることです。いきなり押さえて処置を済ませれば、その日は早く終わるかもしれません。けれど「こわかった」という記憶は、次に本当に受診が必要なとき、その子の足を止めてしまいます。
院長自身、小さな子どもを育てる親のひとりです。泣いて当たり前、じっとできなくて当たり前。その前提で、お子さまのペースを見ながら診察を進めます。うまくできた日は、たくさん褒めさせてください。18歳未満の方は保護者の方の同伴をお願いします。
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お薬は、お子さまの将来まで考えて
お子さまの風邪や中耳炎に、抗菌薬(抗生物質)が必要な場面は限られています。必要のない抗菌薬を使い続けると、細菌が薬に慣れ、これから長い人生を生きるお子さま自身が、将来「効く薬がない」状況に直面しかねません。
当院では、鼓膜やのどの状態と重症度を確かめたうえで、必要なときはしっかり使い、不要なときは使わない理由をご説明します。アレルギーのお薬も、眠気が学習に影響しないよう、種類と量を選びます。
なお、採血を伴う検査(アレルギー検査など)と舌下免疫療法は、当院では6歳以上のお子さまを対象としています。5歳以下のお子さまは、診察と症状に応じたお薬で対応します。
ご家族ごと、支えます
鼻水吸引だけの受診、きょうだい一緒の受診、「これくらいで来ていいのか」という相談。すべて歓迎です。ベビーカーのままお越しいただけますし、日曜午前も診療していますので、平日にお仕事のあるご家庭もご利用ください。
診察の流れ
- 問診症状の経過に加えて、ご家庭で気づいたサイン、園や学校の流行状況を伺います。動画や写真の持参も歓迎です。
- 声かけこれから何をするのか、お子さまにわかる言葉で伝えます。
- 診察耳・鼻・のどを、お子さまのペースを見ながら観察します。
- 処置鼻水の吸引など、必要な処置を行います。
- 説明保護者の方に、状態と見通し、ご家庭でのケアをご説明します。お薬が必要な場合は、その理由もあわせて。
寝ている間の様子(いびき・呼吸・寝相)は、スマートフォンの動画が診療の大きな助けになります。気になる様子があれば、撮っておいてください。
ご家庭でできるケア
- 鼻水は、ためないことがいちばん:かめる年齢なら片方ずつやさしく。かめないうちは市販の鼻吸い器が有効です。嫌がってうまく吸えないときは、当院で吸引します
- 「鼻をすすらず、かむ」を練習する:すすった鼻水は耳へ向かい、中耳炎のもとになります。ティッシュを鼻息で飛ばす遊びなど、楽しく練習を
- 耳掃除は家庭で無理をしない:お子さまの外耳道は細く、綿棒はかえって押し込みがちです。見える範囲だけにして、あとは受診で
- 加湿と水分:乾燥は鼻とのどの防御力を下げます。特に冬場と冷房の季節は意識してあげてください
- ボタン電池・磁石は手の届かない場所へ:時計やリモコンの電池は、フタがゆるんでいないか確認を。誤飲は数時間が勝負です
- 受診のときは「いつから・どんな様子か」のメモを:発熱の経過、鼻水の色の変化、機嫌や食欲。短いメモが、診断の精度を上げてくれます
よくあるご質問
0歳でも受診できますか
はい、0歳のお子さまから診察しています。鼻水の吸引だけの受診も歓迎です。授乳やおむつ替えなど、お困りのことがあればスタッフにお声がけください。
夜間や休診日に具合が悪くなったら、どうすればいいですか
息が苦しそう、呼吸のたびに音がする、よだれを飲み込めない、ぐったりしている、ボタン電池を飲み込んだ可能性がある。こうした場合は朝を待たず、救急外来を受診してください。お子さまは気道が細く、短時間で悪化することがあります。それ以外の症状で判断に迷うときは、こども医療でんわ相談(#8000)にご相談いただくと、受診の要否を案内してもらえます。
小児科と耳鼻科、どちらに行けばいいですか
全身の症状(高熱・発疹・嘔吐・下痢など)が中心なら小児科、耳・鼻・のどの症状(鼻水・耳の痛み・聞こえ・いびきなど)が中心なら耳鼻科が向いています。耳の中や鼻の奥を直接見られるのが耳鼻科の強みです。迷った場合はどちらでもかまいません。当院で診て、小児科での診療が必要と判断すればご案内します。ただし、呼吸が苦しそうな場合は診療科を選ばず、救急外来へお願いします。
子どもが暴れてしまいそうで、受診が不安です
泣くのも、じっとできないのも当たり前です。声かけとペース配分を工夫しながら進めますので、ご家庭で事前に言い聞かせようと頑張りすぎなくて大丈夫です。「病院で悪いことをしたら」と脅す形(注射されるよ、など)だけは避けていただけると、診察がスムーズになります。
鼻水だけで受診してもいいですか。大げさではないですか
大げさではありません。お子さまの鼻水は中耳炎の入り口であり、吸引そのものが治療になります。「鼻水だけ」の受診は、こじらせる前のいちばん賢い受診です。
子どものアレルギー検査は何歳からできますか
当院では、採血を伴うアレルギー検査と舌下免疫療法は6歳以上のお子さまを対象としています。5歳以下のお子さまは、症状に応じたお薬の治療で対応し、必要に応じて検査が可能な年齢になってからのご案内をします。まずは診察でご相談ください。
保育園・幼稚園には、いつから行けますか
病気によって異なります。溶連菌感染症のように、治療開始後の経過で登園の目安が決まるものもあれば、体調が戻れば登園できるものもあります。診断がついた時点で、登園の目安を具体的にお伝えします。園から書類を求められた場合もご相談ください。
